関係者コメントの記録「シルク博物館 被災収蔵品レスキューに参加して」

 川崎市市民ミュージアムの被災収蔵品レスキューに、神奈川県博物館協会の一員として参加させていただいています。被災直後の2019年10月末、収蔵庫のある地下1階に入りました。周辺の環境が劣悪とのことで、防護服を着こんでも40分以上は留まれないと言われたとおり、DS2のマスク越しにも臭気がきつく、まるで蒸し風呂のようでした。また、棚や備品などが倒れて積み重なっていたり、床がめくれあがっていたりして非常に危険な状況でした。
 2020年1月から民俗資料のレスキューが始まりましたが、その時には危険な棚や粗大ごみになった備品類が取り除かれ、通路も確保されていました。レスキューに参加する私たちの装備と、消毒液、うがい薬、飲料水、休憩室なども用意されていて、安全安心に作業することができました。後に新型コロナの影響もあり、消毒液や防護服、マスクなど確保するのは大変だったと思います。コストも相当かかっているのではないでしょうか。加えて、私たちがレスキューに参加するための仕組みも迅速に整備されてありがたかったです。あらためて、多くの人がレスキューに参加できる環境を整えてくれた市民ミュージアムと関係各位にお礼を申し上げたいです。
 民俗資料はひととおり搬出を終えたと聞いていますが、資料にはさまざまな素材のものがあり、それぞれ対応を考えなくてはならないでしょう。冷凍保存した紙資料もかなりあったと思います。被災した資料への対応に「終わり」というのはないのかもしれませんし、まだ難題はたくさんあるかと思いますが、これからも微力ながらレスキューに参加させていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

(掲載写真:レスキューに関する装備品置き場 撮影日:2019年11月15日)

シルク博物館 高橋典子
https://www.silkcenter-kbkk.jp/museum/