ご利用案内

  • 定員:270名(満員の際は入場をお断りすることがあります)
  • 各回入れ替え制。
  • 開場は上映開始時刻の15分前です(混雑状況により開場時刻が早まることがあります)。
  • 記載の上映分数は当日のものと異なることがあります。
  • 作品により、プリント状態のよくないものがあります。あらかじめご了承ください。
  • 館内での写真撮影・録音・飲食・喫煙はできません。

【チケット販売時間のご案内】
◎朝の販売時間は 10:30~(12:30まで)※午前・午後の2回分とも販売します。
◎昼の販売時間は 13:30~(15:30まで)※午後1回分を販売します。


12月 脚色術―原作と脚本の関係

小説や漫画を原作とする映画作品は数多くあります。そして、小説や漫画の物語世界を映画として成立させるためには、脚本家の手による「脚色」によってシナリオが作られることが必要です。小説には小説の、漫画には漫画の、映画には映画の、それぞれ固有の表現方法があります。脚色とは、原作の物語をいったん解体し、映画として成立するように再構築する作業です。それはとりもなおさず「映画においてどのような表現が可能か」を突き詰めていくことにほかなりません。
今回の特集上映では、原作をどのように脚色したかという点において優れた作品を集めました。また、同じ原作を持つ映画が、異なる脚色を経ることでどのような違いが出てくるかを比較して見られる組み合わせもございます。この特集上映で、「映画において脚色とは何か」ということを深く知っていただく機会となれば幸いです。

2013年12月01日11:30~(97分)

通夜の客より わが愛

松竹/1960年/カラー/シネマスコープ・サイズ/35mm/97分


製作:坂井禅互●原作:井上靖『通夜の客』●脚色:八住利雄●監督:五所平之助●撮影:竹野治夫●照明:寺田重雄●美術:平川透徹●音楽:芥川也寸志●録音:服部満洲雄●編集:相良久●出演:有馬稲子、佐分利信、丹阿弥谷津子、田代久美子、谷昌和


◆井上靖の『猟銃』『闘牛』と三部作を成す自伝的短編『通夜の客』を八住利雄が脚色し、女性の描写に定評のある五所平之助監督が有馬稲子をヒロインに迎えた作品。原作の舞台となる山村は中国地方(鳥取)だが、ロケは日本アルプス近郊の山村で行われた。

2013年12月01日14:00~(94分)

偽大学生

大映/1960年/白黒/シネマスコープ・サイズ/35mm/94分


企画:藤井浩明●原作:大江健三郎『偽証の時』●脚色:白坂依志夫●監督:増村保造●撮影:村井博●照明:米山勇●美術:渡辺竹三郎●音楽:芥川也寸志●録音:渡辺利一●編集:中静達治●出演:若尾文子、藤巻潤、ジェリー藤尾、村瀬幸子、船越英二


◆大江健三郎の『偽証の時』を白坂依志夫・脚色、増村保造・監督により映画化。本作は原作者の意向によりテレビ放映・ソフト化がされていない。志望大学に4年連続で落ちた浪人生が、やむなく大学生のふりをしていると、とある事情から学生運動に巻き込まれていく。

2013年12月01日15:45~

トークショー

ゲスト:白坂依志夫(脚本家)、小野沢稔彦(映画プロデューサー・監督・脚本家・批評家)

2013年12月07日11:30~(70分)

Mr.ジレンマン 色情狂い(R18)

にっかつ/1979年/カラー/シネマスコープ・サイズ/35mm/70分


製作:村井良雄●企画:山田耕大●原作:笠太郎『Mr.ジレンマン』●脚色:荒井晴彦●監督:小沼勝●撮影:前田米造●照明:小林秀之●美術:柳生一夫●音楽:ダデイ・竹千代&東京おとぼけCATS●録音:福島信雅●編集:井上治●出演:柄本明、橘雪子、朝霧友香、青柳鉄也、小川亜佐美


◆笠太郎原作の漫画『Mr.ジレンマン』を荒井晴彦・脚色、小沼勝・監督により映画化したヒーローもののパロディ作品。柄本明、高田純次、ベンガルら東京乾電池総出演の元祖スラップスティック・コメディ。

2013年12月07日14:00~(88分)

0課の女 赤い手錠

東映東京/1974年/カラー/シネマスコープ・サイズ/35mm/88分


企画:吉峰甲子夫●原作:篠原とおる『0課の女』●脚色:神波史男、松田寛夫●監督:野田幸男●撮影:中島芳男●照明:大野忠三郎●美術:桑名忠之●音楽:菊池俊輔●録音:小松忠之●編集:祖田富美夫●出演:杉本美樹、郷鍈治、小原秀明、菅原直行、荒木一郎


◆梶芽衣子主演の「女囚さそり」シリーズの原作者・篠原とおるの劇画『0課の女』を神波史男、松田寛夫・脚色、野田幸男・監督により映画化。目的のためには、殺しもやり、自分の体を武器にしてまで犯罪者を追いつめる女刑事の活躍を描く。

2013年12月08日11:30~(116分)

暁の脱走

新東宝=49年プロ/1950年/白黒/スタンダード/35mm/116分


製作:田中友幸●原作:田村泰次郎『春婦伝』●脚色:谷口千吉、黒澤明●監督:谷口千吉●撮影:三村明●照明:大沼正喜●美術:松山崇●音楽:早坂文雄●録音:神谷正和●出演:池部良、山口淑子、小沢栄、清川荘司、伊豆肇


◆戦後、性表現の解放と共に一世を風靡した小説家・田村泰次郎が、大陸での従軍経験をもとに発表した『春婦伝』の映画化。幾度にも亘るGHQの検閲によって、主人公・春美の職業が慰安婦から慰問団の歌手へと変更された。

2013年12月08日14:00~(96分)

春婦伝

日活/1965年/白黒/シネマスコープ・サイズ/35mm/96分


企画:岩井金男●原作:田村泰次郎『春婦伝』●脚色:高岩肇●監督:鈴木清順●撮影:永塚一栄●照明:高島正博●美術:木村威夫●音楽:山本直純●録音:片桐登司美●編集:鈴木晄●出演:川地民夫、野川由美子、石川富子、玉川伊佐男、今井和子


◆田村泰次郎による同名小説の2度目の映画化。春美が原作では「朝鮮人慰安婦」であるのに対し、本作では「日本人慰安婦」と設定されているが、別の形で朝鮮人慰安婦を登場させるなど、原作に忠実であろうとする工夫が窺われる。

2013年12月14日11:00~(92分)

「女の小箱」より 夫が見た

大映東京/1964年/カラー/シネマスコープ・サイズ/35mm/92分


企画:塚口一雄、三熊将暉●原作:黒岩重吾『女の小箱』●脚色:野上龍雄、高岩肇●監督:増村保造●撮影:秋野友宏●照明:伊藤幸夫●美術:渡辺竹三郎●音楽:山内正●録音:飛田喜美雄●編集:中静達治●出演:若尾文子、川崎敬三、田宮二郎、岸田今日子、江波杏子


◆社会派推理や風俗ものを得意とする作家・黒岩重吾による原作の映画化。株の買い占めを巡って対立する男の間に挟まれる妻の倦怠期のけだるさと、愛する男のために夫を裏切ることも厭わない女への変貌を若尾文子が今作でも見事に演じている。

2013年12月14日13:00~(91分)

妻は告白する

大映東京/1961年/白黒/シネマスコープ・サイズ/35mm/91分


企画:土井逸雄●原作:円山雅也『遭難・ある夫婦の場合』●脚色:井手雅人●監督:増村保造●撮影:小林節雄●照明:渡辺長治●美術:渡辺竹三郎●音楽:北村和夫●録音:長谷川光雄●編集:中静達治●出演:若尾文子、川口浩、小沢栄太郎、馬渕晴子、根上淳


◆のちに参議院議員となる弁護士・円山雅也の原作の映画化で、監督・増村保造と女優・若尾文子のコンビによる代表作として知られている。雪山で転落死した夫のザイルを切った妻の裁判を通して、事件の背景が浮かび上がっていく。

2013年12月14日14:35~

トークショー

ゲスト:荒井晴彦(脚本家・映画監督)、青山真治(映画監督・小説家)

2013年12月15日11:00~(116分)

私が棄てた女

日活/1969年/白黒/シネマスコープ・サイズ/35mm/116分


企画:大塚和●原作:遠藤周作『私が・棄てた・女』●脚色:山内久●監督:浦山桐郎●撮影:安藤庄平●照明:岩木保夫、松下文雄●美術:横尾嘉良、深民浩●音楽:黛敏郎●録音:紅谷愃一、神保小四郎●編集:丹治睦夫●出演:河原崎長一郎、浅丘ルリ子、加藤治子、小林トシ江、加藤武


◆遠藤周作の原作『わたしが・棄てた・女』を、山内久・脚色、浦山桐郎・監督により映画化。田舎娘を棄て、出世の道を選んだ男の末路を虚無的な眼差しで描く。最初の脚本では、タイトルは「おまえが棄てた女」だった。

2013年12月15日14:00~(114分)

愛する

日活/1997年/カラー/ヴィスタヴィジョン・サイズ/35mm/114分


製作総指揮:中村雅哉●プロデューサー:山口友三●原作:遠藤周作『私が・棄てた・女』●脚色:熊井啓●監督:熊井啓●撮影:栃沢正夫●照明:島田忠昭●美術:木村威夫●音楽:松村禎三●録音:久保田幸雄●編集:井上治●出演:酒井美紀、渡部篤郎、岸田今日子、小林桂樹、上條恒彦


◆遠藤周作の『わたしが・棄てた・女』を熊井啓・脚色、監督により映画化。ハンセン病と誤診されたことにより、人間としての生き方に目覚めていく孤独な少女の心の成長を描いたヒューマン・ドラマ。

2013年12月21日11:30~(89分)

関の彌太ッペ

東映京都/1963年/カラー/シネマスコープ・サイズ/35mm/89分


企画:小川貴也、翁長孝雄●原作:長谷川伸『関の彌太ッペ』●脚色:成澤昌茂●監督:山下耕作●撮影:古谷伸●照明:井上孝二●美術:桂長四郎●音楽:木下忠司●録音:野津裕男●編集:宮本信太郎●出演:中村錦之助、木村功、十朱幸代、上木三津子、大坂志郎


◆長谷川伸の傑作股旅文学『関の彌太ッペ』を成澤昌茂・脚色、山下耕作・監督により映画化。助監督には鈴木則文、中島貞夫、牧口雄二ら錚々たるメンバーが揃っていた。叶えられぬ夢を抱えて生きる男の哀しみを独自のリリシズムで描く。

2013年12月21日14:00~(90分)

沓掛時次郎 遊侠一匹

東映京都/1966年/カラー/シネマスコープ・サイズ/35mm/90分


企画:小川三喜雄、三村敬三●原作:長谷川伸『沓掛時次郎 遊侠一匹』●脚色:鈴木尚之、掛札昌裕●監督:加藤泰●撮影:古谷伸●照明:中山治雄●美術:井川徳道●音楽:斎藤一郎●録音:渡部芳丈●編集:宮本信太郎●出演:中村錦之助、池内淳子、中村信次郎、弓恵子、高松錦之助


◆長谷川伸による戯曲『沓掛時次郎』を、鈴木尚之、掛札昌裕・脚色、加藤泰・監督により映画化。『沓掛時次郎』は8度にわたって映画化されているが、その中でも珠玉の一作。この頃すでに東映は時代劇から仁侠映画路線への方向転換を決定していたが、時代劇映画の末期の徒花とも言える名作。

2013年12月22日11:30~(89分)

戦争を知らない子供たち

東宝/1973年/カラー/シネマスコープ・サイズ/35mm/89分


製作:針生宏●原案:「戦争を知らない子供たち」(作詞・北山修、作曲・杉田二郎、唄・ジローズ)●脚色:大和屋竺、藤田敏八、古俣則男、松本正志●監督:松本正志●撮影:福沢康道●照明:小島真二●美術:竹中和雄●音楽:東芝音楽工業、木田高介、西岡たかし●録音:伴利也●編集:武田うめ●出演:島村美輝、原保美、若松和子、酒井和歌子、加藤小夜子


◆フォークソング「戦争を知らない子供たち」(作詞・北山修、作曲・杉田二郎、唄・ジローズ)は、戦争を知らない乾いた世代の哀愁を唄った歌であるが、本作はその歌詞を原案に、戦後生まれ世代の一見無意味な行動に秘めた彼らなりの思いを語った作品。大和屋竺、藤田敏八、古俣則男、松本正志・脚色、松本正志・監督。

2013年12月22日14:00~(85分)

青春の蹉跌

東京映画=渡辺企画/1974年/カラー/シネマスコープ・サイズ/35mm/85分


製作:田中収●原作:石川達三『青春の蹉跌』●脚色:長谷川和彦●監督:神代辰巳●撮影:姫田真佐久●照明:金子光男●美術:育野重一●音楽:井上尭之●録音:原島俊男●編集:山地早智子●出演:萩原健一、桃井かおり、檀ふみ、河原崎建三、赤座美代子


◆石川達三『青春の蹉跌』を長谷川和彦・脚色、神代辰巳・監督により映画化。ロマンポルノの鬼才と呼ばれた神代辰巳による初の一般映画作品である。社会への一歩を踏み出そうとする青年が、自らの野望に固執するあまり破滅していく姿を鮮烈に描く。

2013年12月23日11:30~(95分)

砂の上の植物群

日活/1964年/白黒/シネマスコープ・サイズ/35mm/95分


企画:坂上静翁●原作:吉行淳之介『砂の上の植物群』●脚色:池田一朗、加藤彰、中平康●監督:中平康●撮影:山崎善弘●照明:高島正博●美術:大鶴泰弘●音楽:黛敏郎●録音:橋本文雄●編集:辻井正則●出演:仲谷昇、島崎雪子、稲野和子、西尾三枝子、信欣三


◆吉行淳之介の同名小説を池田一朗、加藤彰・脚色、中平康・監督で映画化。原作が刊行された際には「悪書」として話題になった。原作の題名はパウル・クレーの抽象絵画「砂の上の植物群」からとられており、映画の中でもその絵画が効果的に使用されている。

2013年12月23日14:00~(71分)

おんなの細道 濡れた海峡(R18)

にっかつ/1980年/カラー/ヴィスタヴィジョン・サイズ/35mm/71分


製作:結城良煕●原作:田中小実昌『島子とオレ』『オホーツク妻』●脚色:田中陽造●監督:武田一成●撮影:前田米造●照明:田島武志●美術:後藤修孝●音楽:寺島尚彦●録音:福島信雅●編集:山田真司●出演:桐谷夏子、山口美也子、小川恵、三上寛、草薙幸二郎、石橋蓮司


◆田中小実昌の短編小説『島子とオレ』『オホーツク妻』『ポロポロ』を、田中陽造・脚色、武田一成・監督により映画化。辺境の漁師町を彷徨う主人公と、出会った女たちとの交情を描いたロード・ムービー。叙情ロマンポルノの傑作。

2013年12月28日11:30~(102分)

江分利満氏の優雅な生活

東宝/1963年/白黒/シネマスコープ・サイズ/35mm/102分


製作:藤本真澄、金子正且●原作:山口瞳『江分利満氏の優雅な生活』●脚色:井手俊郎●監督:岡本喜八●撮影:村井博●照明:山口偉治●美術:浜上兵衛●音楽:佐藤勝●録音:矢野口文雄●編集:黒岩義民●出演:小林桂樹、新珠三千代、矢内茂、東野英治郎、英百合子


◆高度成長期を生きる戦中派サラリーマンの日常を描き、直木賞を受賞した山口瞳の同名小説の映画化。急逝した川島雄三に代わってメガホンをとった岡本喜八の代表作のひとつとして知られるが、封切り当時は不入りだったという。

2013年12月28日14:00~

はつ恋

東宝映画/1975年/カラー/シネマスコープ・サイズ/35mm/86分


製作:貝山知弘●原作:I・S・ツルゲーネフ『はつ恋』●脚色:重森孝子●監督:小谷承靖●撮影:中井朝一●照明:高島利雄●美術:竹中和雄●録音:伴利也●編集:池田美千子●出演:井上純一、二谷英明、南風洋子、原ひさ子、仁科明子


◆19世紀ロシアの作家・ツルゲーネフによる古典的な三角関係を描いた名作を、1970年代の鎌倉に置き換えて映画化した作品。当時売り出し中だったアイドル・井上純一が、年上の女性に抱く初恋とその挫折を経験する少年を演じた。