関係者コメントの記録「横須賀美術館 収蔵品レスキュー活動に参加しての雑感」

 自身のレスキュー活動への参加は、2020年2月からと遅れて参加しました。先行して参加していた同僚学芸員から、現場の様子や作業についての情報を貰っていましたが、実際に目にした、大きくひしゃげた収蔵庫の扉や棚、浸水した作品や資料類など、約4ヶ月近くが経過し作業が進んではいたものの、被害の甚大さを知るには十分であり、強い衝撃を受けました。
 それから、4月に新型コロナウィルスの蔓延の影響で休止となるまで、少ない回数ではありますが参加しました。活動に参加したことで、自分のなかで良い意味でも悪い意味でも、慣れてしまった美術作品の取扱いや保管・保存はもちろん、学芸業務全般において多くを考えることができ、また改める機会になったと思います。
 2021年11月になり活動が再開され、申し込みを行いました。休止されている間、関係する報道やレポートを目にしており、そのなかで、まず思ったことは、自分が受け入れてもらっていること、また、多くの人の準備やお膳立のうえに自分が参加できていることであり、そのことへの感謝の気持です。
 休止する前の参加では、恥ずかしながら気付きませんでしたが、先に述べた通り、自身の学芸業務に小さくない影響を与えてくれたことも含めて、市民ミュージアムのスタッフはもちろん、日程調整を行っている全国美術館会議事務局など、多くの関係各所にこの場をお借りし、感謝を申し上げます。
 今後、コロナの収束とともに、レスキュー活動が加速化していくことを願いつつ、微力ではありますが、引き続き参加していければと思います。
(掲載写真:紙資料レスキューの様子)

横須賀美術館 学芸員 栗林 陵
https://www.yokosuka-moa.jp/