関係者コメントの記録「NPO法人カビ相談センター 川崎市市民ミュージアムのカビ制御に関わるレスキュー活動に参加して」

 2019年12月下旬、川崎市市民ミュージアム地下収蔵庫で水害による被災現場を視察しました。
 施設に限らず貴重な資料が夥しいカビによる被害を受け、一部採材してどの程度カビが汚染伝播しているか調査したところ地下の収蔵資料全体が被災し、特定のカビによって被害を受けていたことを知りました。翌年7月、館内の主だった作業場所の環境を調査したところ収蔵庫や館内広域でカビ発生や臭気などによる被害も起こっていました。被災時からの停電もあり、特に館内地下の空気質が低下し、収蔵庫に限らず館内数箇所に広域に伝播していることもわかりました。被災時からの停電や館内地下の空気質の低下が影響していると考えられます。
 そこで、2020年9月から定期的に施設関係者とカビ被害を抑止するための環境管理及び作業従事者の健康管理へのアドバイスを行ってきました。具体的なカビ対策として、①館内でも被害の多い箇所を中心に収蔵資料及び収蔵庫のカビ除去策、②施設内で飛散するカビに対する健康管理策を講ずることがあります。
 その結果として「川崎市市民ミュージアム館内環境の浮遊カビに係る維持管理規準」を策定し、すでに運用しております。この規定は川崎市市民ミュージアム独自のものですが、今後は被災施設での健康管理規準として広く活用されることを願っております。
 館内のカビ対策はしばらく続くかと思います。今後もレスキューとしてカビ問題が解決できるよう支援してまいります。
(掲載写真:地下収蔵庫環境測定の様子)


NPO法人カビ相談センター  高鳥浩介
https://www.kabisoudan.com/