関係者コメントの記録「玉川大学教育博物館 レスキューに参加した一学芸員として」

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 市民ミュージアムの被災は、一川崎市民としても痛恨事でした。同館での臨時職員の経験から、施設状況を知る分被害のほどが心配され、レスキューに応募しました。助言・技術指導が可能な資料保存の専門ではないため、一作業者としての参加です。2019年11月から足掛け10ヶ月、10日間参加しましたが、初日に一変した館内の光景を見た際の衝撃は、忘れられません。
 実施内容はレスキューの進行に伴い、作品移動・額装外し・乾燥、考古資料を保管していた容器からの排水作業、書籍の脱水、民具洗浄、燻蒸済み資料のカビ払いと、ほぼ毎回資料分野や作業が異なります。職員時代に担当した資料を救出したい思いは封印し、当日割り当ての作業が、その時最も必要で優先すべきものと考えるようにしました。毎度作業手順の説明を受ける必要が生じましたが、作業環境や進め方は、回を追う毎に改善していくのを実感しました。
 資料の安定化処理・修復は、今後も息の長い取り組みが必要で、そのために尽力される各位に敬意を表します。市民ミュージアムが1日も早く本来の活動を展開できるよう、願っています。
 今回参加して学んだことを、勤務館の防災対策や学芸員養成教育に活かし、同様な被害の発生防止に少しでも役立てたいと考えています。

(掲載写真:グラフィックの乾燥作業【手前中央人物:菅野氏】)

玉川大学教育博物館 菅野和郎
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