2016年04月26日

現地見学研修「二ヶ領用水を歩く」第3回(武蔵溝ノ口~武蔵小杉)

平成28年3月19日(土)に平成28年度第3回のボランティア現地見学研修「二ヶ領用水を歩く」が実施されました。
既に7月の第1回では登戸~武蔵溝ノ口を踏破しており、今回はその続きの武蔵溝ノ口から武蔵小杉までの約7km見学コースです。ちなみに11月に行われた第2回では、稲田堤から向ヶ丘遊園間を歩いています。
案内と資料の提供は青木さん、地図の提供は近藤さんです。

 

9:00頃
天気は朝からあいにくの小雨でした。集合時間の9:00頃になってもそれは変わらずぐずついた空模様でしたが、実施することになりました。集合場所は武蔵溝ノ口駅改札前で、参加者は職員1名、ボランティア9名の計10名でした。

 

参加者は職員1名、ボランティア9名
 

 

最初に見学したのは。駅から歩いて5分程の栄橋交差点でした。昔、栄橋という橋があり、ここで旧平瀬川と二ヶ領用水根方堀が交差しており、洪水の起きやすい場所だったそうです。
この交差点から目と鼻の先にあるのが宗隆寺です。日蓮宗の寺院で、川崎出身の陶芸家濱田庄司の墓があります。

 

宗隆寺
 

 

9:30頃
溝口神社の境内を通過して大山道に入り、しばらく歩くと大山道と二ヶ領用水川崎堀が交差する場所に出ます。ここにかかるのが大石橋です。

 

大石橋
 

 

そのたもとには駐車場があり、江戸時代そこには丸屋七右衛門の屋敷があったそうです。七右衛門は溝口村の名主で、文政4年(1821)の溝口村水騒動の際には大師河原村を中心とした農民たちによって、屋敷は打ち毀しに遭いました。
しばらく川崎堀に沿って歩きました。現在はほぼ直線に流れている川崎堀ですが、昔は蛇行して流れていたそうで、現在でもやや斜めとなっている建物区画などが往時を偲ばせます。

 

10:00頃
さらにしばらく歩いて、川崎堀にかかる平成橋より少し南に行くと、空になった堀にかかるもう一つの橋があります。この付近に旧川崎堀と旧平瀬川合流点があったようですが、見てもよくわかりません。ただ、水は流れていないものの堀自体は先にも続いて残っています。
その後、一旦旧川崎堀を離れて北側の現川崎堀にかかる二子塚橋を通り、近くの二子塚公園に行きました。この付近には昔二子塚という古墳があったそうですが、現在は残っておらず二子塚公園に碑があるのみです。この公園には川崎駅や川崎港湾部を走っていたトロリーバスが保存されており、これが現存最後の一台だそうです。

 

川崎駅や川崎港湾部を走っていたトロリーバス
 

 

再び川崎堀の旧流路に戻りました。二子から坂戸の間では旧川崎堀は緑道(二子坂戸緑道)になっており、くねくねと蛇行していること、周囲に比べて土地が若干低いことなどから、ここが確かにに昔水路だったことを偲ばせてくれます。
緑道の出口には石橋供養塔があります。寛政5年(1793)に坂戸橋が石橋に掛け替えられた時に建てられた供養塔で、南側に「南無法蓮華経」、北側に「南無阿弥陀佛」と刻まれている珍しいものです。村内に日蓮宗徒と真言宗徒がいたためとか。
その後、旧流路にあたる道路を暫く辿ることになりました。

 

10:30頃
石橋から少し歩くと向かって左側に安養院というお寺があり、古いお寺のようです。最初に見学した宗隆寺や溝口神社もそうですが、二ヶ領用水の流路沿いには寺社が多いようです。
このあたりから雨脚が強くなってきて、当日資料も濡れて、嫌な予感が強くなってきました。

 

旧流路は第三京浜に突き当たって一旦途切れてしまうため、そこからは迂回して旧流路を辿ることを選ばず、現流路に戻ることになりました。暫く進むと住所が高津区から中原区になります。雨も激しくなってきたため、親水公園のあずまやで少し休憩をしました。
再び川崎堀沿いに進みます。中原区内では二ヶ領用水沿いに桃が多く植えられていて、この時も雨の中でも綺麗に咲き誇っていました。

 

11:00頃
次に見学したのが井田堀取水口(井田堰)と竹橋です。井田堰は井田村方面に流れる井田堀の取水場所です。井田堀は現在コンクリートで覆われて水路面は確認できませんが、川崎堀に対して斜めになっているゴミ捨て場やその延長上の道路の様子から、そこに水路があったことを想像させてくれます。

 

そのすぐ下流に宮内水門があり、水量調整のためここから多摩川に水が放流されます。さらに少し進んだところに木月堀取水口(木月堰)がありますが、雨のためじっくり見学することは叶いませんでした。
そして11:20頃、残念ながら雨のためライフ宮内2丁目店前で中止となりました。スタートから約4.6kmの地点でした。

 

当日の行程
 

 

今回は残念ながら雨により予定の7割弱を消化したところで、中止となってしまいました。
しかしながら、現流路と旧流路の位置関係や蛇行の仕方などの違いの把握をはじめ、周辺の見所を見学ができ、とても有意義なひとときでした。

 

いつもわかりやすいガイドをしてくださる青木さん、面白い地図を提供してくださる近藤さん、ならびに様々な調整役の職員の鈴木さん、本当にありがとうございました。

 

(博物館部門展示ガイドグループ 中村)

 

*2014年3月までのボランティア活動の様子は、こちらでご覧いただけます。

http://ameblo.jp/kawasakimuseum2010/