2015年10月10日

現地見学研修「川崎市港湾局巡視船による川崎港見学」に参加して

待ちに待った川崎港見学の日がやってきた。従来の見学研修とはひと色変わった川崎市港湾局巡視船により川崎港の埋立地・工業地帯を海から見学する研修会である。乗船料は川崎市持ちといううれしい企画で、産業観光に力を入れている川崎市ならではである。ちょっとワクワク感のある気持ちで9月16日水曜日13時にJR川崎駅の改札前時計台に集合した。
ボランティア仲間23名とボランティア担当鈴木職員が参加。久方ぶりに多くの皆さんの集合で、久し振りの挨拶で沸き返る。

 

定刻に違わぬ集合で早速、バスで約20分、日本触媒前で下車し、川崎市の船客待合所にて待機。壁に貼ってある川崎港の地図で皆さん、論議しきり。さすがはである。

 

出航が待ち遠しい
出航が待ち遠しい

 

14時15分、いよいよ巡視船「あおぞら」に乗って就航。女性のガイドで始まる。少し、曇り空で視界が悪いのが、玉にきずであるが、それでも風がなく、おだやかな航海となりそうだ。
川崎沖には8つの埋立地があり、その間を運河が通っている。埋立地は2段となり、ここは手前の千鳥町である。沖の方が扇島と東扇島で川崎の代名詞でもある。川崎は多摩川の河口にあり、江戸の頃から対岸の羽田と同様、遠浅の海が広がり、さすがのペリー艦隊も近づかなかったところである。

 

時が変わり、遠浅の海は埋立てられ、羽田は航空機の発着場となり、川崎は岸辺に新田を造成していった。さらに一大工業用地を目指し、大正末から昭和の初めにかけて、島状の埋立地を造成していったのが、白石町、大江町、扇町である。横浜市の方は安善町と末広町。
これらの埋立地を横浜と一体となって最初に推進したのが、浅野総一郎など民間人である。浅野総一郎らの事業は、埋立地を川崎と横浜にまたがる行政区の異なるところの埋立を行ったところに特筆すべきところがある。その宣伝にいわく「工場は川崎・鶴見へ、工場は鶴見・川崎へ」とうたい、1万トンの船は横付け、鉄道は構内までと近代的工業立地、京浜工業地帯と呼ぶにふさわしい工業地帯が誕生した。その後の埋立は行政主体となったが、扇島はまたその延長線にあって横浜と川崎の一体化した埋立地で最大を誇る。

ガイドさんの説明を聞きながら...
ガイドさんの説明を聞きながら...

 

さて、航路は千鳥運河から出て、左に折れ塩浜運河に入る。千鳥町の方は市営の上屋(倉庫)が続いているが、古くなったので再整備するという。いよいよ最大幅の京浜運河に入る。戦前の埋立地と戦後の埋立地(扇島と東扇島)の間である。ガイドさんがなめらかに工場などの説明をしてくれるが、なかなかついて行けない。第一、JX日鉱日石エネルギーとはいくつの会社がくっついたのだろう。要はエネオスブランドらしい。仕事がらみか、趣味でもなければ、追いかける気もしない。石油会社もそうだが、銀行など金融業も然り、鉄鋼、造船、電機などのメーカー、どの分野の企業も離合集散が激しい。東亜石油とか三井埠頭、日清製粉などが出てくると懐かしい。青物の埠頭もある。

 

夜景でも有名になった工場群
夜景でも有名になった工場群

 

横浜市との境を目の前にしてUターンする。今度の右手は扇島、ほとんどはJFEスチールで日本鋼管と川崎製鉄とが合併した会社で、元から日本鋼管の工場である。後で調べると横浜の大黒ふ頭と扇島の間、鶴見つばさ橋がかかっているところが鶴見航路で、京浜運河を通って東扇島先に出るのが、川崎航路というらしい。
昭和37年11月に京浜運河内においてタンカー同士が衝突し、炎上、死者41名を出す大事故があって、今は海上信号所を8ヶ所設け、5種の電光文字により運行規制して事故防止を図っている。

 

扇島と東扇島の間の水路を通る。ここは狭く、運河でなく水路というらしい。自由に立入れない扇島に比し、東扇島には川崎マリエンと公園が4つあって、市民と港の交流を深めている。西公園の岸壁では釣りをしていた。運河の外に出たが、防波堤が築かれていて、波静かである。ここは外貿バースであって、いろいろな物流センターがある。スバルの物流センターがあって6500台を積載できる自動車運搬船が泊っていた。ひょっとして日本郵船運航のパナマ船籍アフロディテ・リーダー号だったか。

 

浮島町の沖に出て、ゴミを焼いた灰を埋め立てている処理場の先を回り、多摩川の河口に入る。東京湾アクアラインの換気塔とかすんだ橋が見える。羽田空港の新しいD滑走路が横に展開している。海上の方から数分に1機と真上を通り、次々と降りてくる。迫力がある。

 

数分に1機真上を通る
数分に1機真上を通る

 

浮島町公園あたりをUターンして、京浜運河に戻る。千鳥町の方に東電火力発電所が見える。塩浜運河に入り、東亜石油の精製設備がたちあがって、夜は工場の灯りがきれいで人気スポットだそうである。

 

1時間半の航海が無事、終了した。普段味わえない体験ができて、感激である。 この見学を企画立案していただいた関係者に感謝です! 今度は工場見学と行きたいものです。

 

普段味わえない体験ができて、感激!
普段味わえない体験ができて、感激!

 

 

(博物部門展示ガイドグループ 小野 俊彦)

 

 

 

*2014年3月までのボランティア活動の様子は、こちらでご覧いただけます。

http://ameblo.jp/kawasakimuseum2010/