関係者コメントの記録「新宿区立新宿歴史博物館 レスキュー活動参加のはじめの一歩」

 令和元年10月、以前から足を運んでいた川崎市市民ミュージアムが、台風で水損被害を受けたと報道で知りました。水没している写真を見たとき、こんなことがあるのかと驚いたことを覚えています。
 しばらくして、日本博物館協会からレスキュー活動の案内が届きました。正直、「どうしよう・・・」。参加しなければという使命感と、現地を目の当たりにしたとき想像以上のショックを受けないか、そして、カビが怖い、活動できるのか!?など不安が錯綜しました。普段なら尻込みしてしまいますが、同僚と一緒ということもあり、「えいやっ!役に立つかどうかわからないが、とにかく行ってみよう!」と一歩踏み出しました。それから早1年以上、古文書のレスキューで月2回程度活動しています。活動では、修復の専門家から話を聞いたり、プロの作業を見たり、貴重な学びの場でもあります。現在は、水損後乾燥させた古文書をひらく作業が主な活動です。紙質、カビの状況によって扱い方を変えながらの至難の業ですが、何が書かれているのか披くことを楽しみに進めています。
そして今でも、私は役に立っているのか!?と疑問に思うこともありますが、継続して活動に参加しています。レスキュー活動を通して、水損被害は過去のものではなく、現在もレスキューの必要性を実感します。また、川崎市市民ミュージアムだけではなく、多くの団体による地道な作業で支えられていることも見えてきます。一歩踏み出したことで、わかったこと、経験できたことは私にとってとても貴重な財産となりました。

(掲載写真:古文書レスキューの様子)
古文書レスキューの様子

新宿区立新宿歴史博物館 嘉山 澄
https://www.regasu-shinjuku.or.jp/rekihaku/