関係者コメントの記録「国立国会図書館 川崎市市民ミュージアム被災収蔵品レスキューについて」

レスキュー内容

国立国会図書館は、被災収蔵品のうち紙媒体の図書資料のレスキューに係る技術的支援の依頼を受け、レスキュー作業に参加しました。
11月末に当館職員2名が現地で被災状況の確認とヒアリングを行いました。日本図書館協会(JLA)資料保存委員会と協力して被災資料レスキュー作業の手順書を作成の上、12月下旬に当館職員3名及びJLA4名が改めて現地に入り、担当者に指導しながら被災資料の一部の搬出、予備洗浄、冷凍保管のためのポリ袋への収納等の作業を行いました。その後、作業結果に基づく手順書詳細版及び全体作業量の見積りを提示しました。

レスキューで感じたこと、困難だったこと

図書資料は一括収蔵ではなく、各分野の収蔵庫に分散保管されていました。担当者レベルでは各々の図書資料を把握していましたが、館全体では図書資料の全体像が共有されておらず、レスキュー対象資料の量の把握及びレスキューの優先順位付けの判断が難しい様子が見受けられました。水損資料のレスキュー作業は時間との闘いであり、収蔵品の状況を把握して迅速に対策を実施するためには、災害時の指揮を早期に確立することが肝要です。あわせて、平時からの収蔵品の搬出順等を含めた発災時対応のマニュアル整備や訓練の大切さを感じました。

今後に望むこと

収蔵庫から搬出された被災資料群に一刻も早く安定化処置が施されることを望みます。その中で各被災資料の処置方法や進捗状況などの情報をできる限り発信していただければと思います。
被災により劣化が著しい収蔵品も少なくありませんが、それらは川崎市市民ミュージアムが収集した特色あるコレクションであり、地域にとってかけがえのない文化的財産です。修復等の処置を講じてなんとか後世へ残していって欲しいと思います。

(掲載写真:書籍洗浄後の脱水作業の様子)

国立国会図書館収集書誌部資料保存課 関 さやか 
同        小野 智仁 
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