多摩川を渡る -六郷橋と六郷渡船-

ごあいさつ

 山梨県塩山市の笠取山を水源とする多摩川は、神奈川県、東京都を流れて東京湾に注ぐ全長138kmの一級河川です。その下流部を通称六郷川といい、昔から水害の多い地域でした。
 江戸時代における大河川の渡河方法は架橋や渡船、徒渉としょうが一般的で、六郷川では当初橋が用いられました。しかし、氾濫の多発する六郷川で橋を維持することは難しく、江戸時代初期に渡船へ切り替わります。この六郷渡船(六郷の渡し)は約180年続き、六郷川を渡る者、渡船場に生きる者にとって欠かせない存在となりました。その後、明治に入り架橋の気運が高まるなか、渡船場を取り巻く環境はどう変化していったのでしょうか。
 本展では、近世から近代における六郷渡船と六郷橋に焦点を当て、渡船場および架橋の歴史、そこに携わった人々の様子を紹介します。
 このたびの展示が、多摩川および地域の歴史・文化に対する関心を深めていただく一助となりましたら幸いです。

                                                 令和7年(2025)12月12日
                                                 川崎市市民ミュージアム