Chapter2 痕跡をみる

 窓の拭き跡やポスターを貼っていたテープなど、わずかな時間だけ残しておくことができたり、誰かの行為が感じられたりするもの。長田は、これらのものを「痕跡」と呼んでいます。

 痕跡は空間の中に溶け込んでしまう、ささやかな存在です。その存在が印刷によって複製されたり、別の素材や別の場所にうつしとられたりすることで主張され、私たちの目の前に現れてきます。作品は、日常の何気ない行為に美しさやおもしろさを見つけるきっかけを与えたり、誰かがこの場にいた痕跡に想像を巡らせる装置ともなりえるでしょう。

 今回の展覧会に合わせてMuseum⁺205(川崎市役所本庁舎復元棟2階)で作品を制作しました。版画の技法であるシルクスクリーンの制作工程や、作品ができあがる様子を動画でお楽しみください。

《Two Wipe Marks (Museum⁺205, Kawasaki City Hall)》シルクスクリーンによる制作風景