Chapter1 静物をみる
長田は作品のモチーフとして、パン屋の袋や郵便物の袋など、誰かが使用したものを多く選んでいます。それらは役目を果たし廃棄されてしまうものに見えますが、かたち・しわ・貼り付けられたもの等の表層が印刷によってうつしとられることで、その場に留まっているようです。また、モチーフとしたものと異なる素材に刷られているために、作品をじっくり見たとき、予想していた質感や重さの感覚との違いに気付き戸惑うこともあるでしょう。
「ふわふわと風で舞うはずなのに、ぺったりと床に落ちている。」
「軽くて簡単に折り曲げられるはずなのに、重いし硬くて曲がらない。」
印刷によって様々な素材にうつされたイメージは、普段私たちがどのようにものを見ているのか、改めて意識させてくれます。