大島康幸展

第3章 「始まり」

近年発表の最新シリーズ。「時間ときの衣」シリーズと同じ人体彫刻であり、布に残る指先の跡のような造形は実体がとどまっていたであろう時間を連想させ、一見、「時間の衣」シリーズとの繋がりを思わせます。しかし、「時間の衣」シリーズは初期の人体彫刻の再考なのに対し、「始まり」シリーズは「FAKE FUR」シリーズから派生したものです。

一枚の布から手足が生まれるかのような造形は、確かに表皮をモチーフにした「FAKE FUR」シリーズと類似しています。一方で、躍動感や疾走感はあまり感じられません。「始まり」シリーズでは、ある種固定的な時間でもって、量塊ある人体のリアルを表現していると言えるでしょう。流動的な時間を纏わせることに人体彫刻のリアルを求めた「時間の衣」シリーズとの違いが、ここにもあります。

シリーズ名の「始まり」とは、またここから新しい造形を生み出そうとする大島の気持ちを表しています。シリーズを重ねるごとに、変化し多様な表現を見出していく大島の「リアル」。新たな挑戦が始まっています。

H1 Prologue
-始まりの人(おとこ)-

H2 Prologue
-始まりの人(おんな)-

H3 Prologue -eva-

H4 始まりの手 no.1

H5 始まりの手 no.2