ブルーノ・ムナーリ

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著述家

ムナーリは生涯にわたって、さまざまな分野にわたる本を書いています。内容からみれば、子どもたちの造形美術の感性を育む本、子どもたちのための絵本、大人たちを対象にした造形美術の本、子どもの美術に携わっている大人たちのための啓蒙的な指導書、アーティストとして制作した実験的な本などがあります。どれ一つとってみても、創意と実験的な試みに満ちていて、ムナーリほどたくさんの本を書いたアーティストはほかには見当りません。そして、これら多種多様に見えるたくさんの本を作りましたが、そこには通底していることがあります。ムナーリが本という形式を通じて読者に伝えたかったことは、文字言語と同じように色や形や線で構成されている美術的な表現にも視覚的な約束事や原理があるということでした。美術作品やオブジェの制作には数の制限がありますが、ムナーリには本という形式は自らの造形思考を人びとに広く伝える媒体でした。


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「デザインとヴィジュアル・コミニュケーション」
本書は、1967年にハーヴァード大学のヴィアルコミュニケーショ ンの研究を専らとするカーペンターセンターにおけるムナーリの講義を まとめたものです。ムナーリはこの本の中で形や線や面などの造形的な 要素などの視覚的な要素によって、さまざまなコミュニケーションが可 能なことを実証的に研究しています。文字言語に代わりに、視覚的な要 素が多くの伝達性かあることは周知のことですが、ムナーリは本書でその論理的な考察を試みています。一般読者には少し専門的なところもあ りますが、ムナーリのめざした視覚言語の試みを理解するには絶好の書 となっています。


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「暗い夜に」
すでに半世紀ほど前に制作された作品にもかかわらず、本書はその内容と表現方法の特異性のために新鮮さを失なっていません。この本には、さまざまな紙が効果的に使かわれ、また仕掛けがほどこされているので、読み進んでいくと、ページをめくるという類いの静的な読書ではなく、読者は本の中のできごとをまるで実際の体験をしているかのような臨場感をえます。視覚伝達という視点から考えたムナーリの絵本にたいする考え方がすべて凝縮されているといえるでしょう。ムナーリは、「読めない本」で、わたしたちの従来の本という概念を大きく変えてしまいましたが、「暗い夜に」も同様に絵本という常識を大きく広げたものとして記憶されるでしょう。


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「ファンタジア」
この本ほどブルーノ・ムナーリの造形的な考えや着想を表しているものはありません。ファンタジーという語に由来するこの言葉がタイトルになっている本書の内容は、ディズニーの映画や異次元の世界の幻想的な童話や物語の世界などを通じてわたしたちが知っているようなファンタジアから類推できるような甘いものではありません。ムナーリがこの本で提案するのは、事物を見たりする視点の転換や、考えたりするなにごとにも煩わされない発想力の刺激であり、ものごとをか新鮮に発想する新しい領土「ファンタジア」への案内なのです。


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「遠くから見ると島だった」
レオナルドは壁のシミに自然現象を見い出しました。ムナーリも自然を観察しそれを活用し、そこから表現の材料を見い出す天才でした。ムナーリは、いろいろな模様のついた石を水平線や木など他のものに見立てました。石の石英の白い縞の上にペンで動物などを描き足し、いわば「見立ての石」にしました。河原や海辺で拾ったさまざまな模様、色、形の石を集めて紹介したのがこの本で、遠くから見ると島だったが、近づいてみると小さな小さな石だったという錯視という意味でもとても面白い本です。ムナーリのこうした空想遊びは、日本の見立てや盆栽の世界に影響を受けたようです。


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「太陽をかこう」
赤という色は、しばしば血や炎、太陽などと関連づけられ、情熱、高揚、警告等を表すことが多くあります。ムナーリは、太陽の持ついろいろな表情をあらゆる視点からとらえ、洋の東西や時代を横断しながら、科学者や芸術家などが表現したさまざまな太陽について提示しています。そして、いろいろな描画材と技法を使って太陽を描くことの楽しさを教えてくれています。この本は、もともと色のワークショップ「ロッソ(赤)」をもとにしたもので、絵の具を使って赤という色の持つイメージの広がりを体験し自由に表現することを教えてくれます。


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「きりのなかのサーカス」
素材や色画用紙の使い方、画面の穴あけなど、視覚言語の面から考えて、絵本の歴史の上でも画期的な作品。特に霧の質感を表すのに半透明のトレーシングペーパーを用い、目的地の喧騒が次第に見え・聞きしてくる臨場感は卓抜な着想によるものです。


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「芸術家とデザイナー」
ムナーリは、アーティストとしては異例に多くの著作を残しています。自身の作品の源泉について、ビジュアルコミニュケーションについてなど多岐にわたっています。ここでは、芸術家とデザイナーとを社会的な役割、発想の違い等を通して、芸術とデザインの異質点と共通点について分析しています。芸術家、思想家等の金言をコラージュした仮想討論は読書家でもあったムナーリならではのものです。


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「木をかこう」
ムナーリは、その確かな目で、樹木の成長する様子を観察し、一定の法則を見出しました。成長する枝は、幹から遠くなるほど細くなります。どんな種類の木でもこの規則は変わりません。ムナーリはこの法則をさまざまな木のイラストレーションで紹介しています。現在、小学校2年生の国語科の教科書(光村図書出版)に「1本の木」で紹介されています。


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「芸術としてのデザイン」
この本は、ムナーリがミラノの一般大衆新聞の夕刊に寄稿した原稿を本にまとめたものです。内容はムナーリの造形思考の原点を示すもので、後年の発想や着想が見られますムナーリの芸術にたいする考えがもっとも分かりやすく書かれています。原題は「職業としての芸術」で英語版からの訳。


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「フォーク」
イタリアでは古くから日常的に指サインが頻繁に使われています。この本は、指のかわりにフォークの先で語らせたウイットに富んだストーリーなしのイラストブックです。「どうぞ」「いかが?」「おしまい」などを意味する様々な表情のフォークが登場します。


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「円/正方形」
イタリア語版では二冊の本になっていますが、日本語版では「円」と「正方形」が一つの箱に入っています。世界中のさまざまな事物や事象の中に潜む、円・球体や正方形・立方体の形のもつ意味を探り、目で見る「円と正方形」の形の小事典となっています。