ブルーノ・ムナーリ
MUNARI50_ムナーリ50
プロダクトデザイナー/建築家
ムナーリは、プロダクトデザインをする時に、当時、最も新しく大量生産が可能で安価な素材を積極的に取り入れて実験的なアイデアを実現しています。その素材の特性を最大限に生かすために、ムナーリはデザインをするだけでなく、その工場に足を運びさまざまな実験を繰り返し、職工、職人などと何度も試作を重ねてプロジェクトを実現させています。それは、デザイナーと企業が対等な立場から製品の開発に関わり、消費者である一般市民にできるだけ安価で質の良いものを提供するという理想から生まれた必然と言えるでしょう。そうした結果、ムナーリのプロダクト作品は、どれをとってもあたたかい質感、独特の美しいフォルム、そして使いやすい機能をそなえているのです。
そうした作品には、車の座席などに使用されている素材フォームラバーを使った子どもの玩具「小ざるのジジ」やストッキングに使われる伸縮性のあるニット素材を用いた光の彫刻といってもさしつかえのない照明器具「フォークランド」などがあります。

「竹製の花器」
花をいけるこれらの器は、1985年にこどもの城で開催されたブルーノ・ムナーリ展にあわせて、ミラノのムナーリからこどもの城に送られてきたデッサンに基づいて、つくられたものです。ムナーリの希望で2セットつくり、ひとつはムナーリ、ひとつはこどもの城、それぞれのコレクションにしました。これらの作品は「デザイナーなしの優れた生活用品」として、ムナーリが愛した日本のグッドデザインを真似たものです。竹のシンプルな自然の特質を生かした花器です。

「フォークランド」
この優雅で弾力性を感じさせる事物は一体何なんでしょうか。光を点灯させなければ、照明器具とはなかなか気がつかないと思います。そして光がついても、柔らかく放散する光が作り出す形は、照明器具を越えて立体的な造形作品になっています。ムナーリは、女性が使用する伸縮性に富むストッキングの生地に注目し、他に用途がないかメーカーと試行錯誤した結果、できあがったプロダクト製品です。白熱球を装着する軽金属の部分をはずして、たたむとわずか数センチの厚みの箱に収納されてしまいます。

「カプリ」
3枚のポリエステルの板とファイバーグラスとが、簡単な金属製のジョイントで結合されている照明器具です。これは、収納時には平ですが、箱から取り出せば瞬時に組み立てられ、立体的な形態になります。ムナーリは、多くの複雑な部品が洗練されたデザインを生むのではなく、もうこれ以上単純化することのできないところまで余分なものをそぎ落として生まれたものに、物の本質があると考えています。

「洋銀の皿」
正方形の洋銀(銅、ニッケル、亜鉛の合金で耐久性がよく、美しい銀白色の金属)の板の四つの変に切り込みを入れ、その部分を重ねあわせて接合して生まれたのがこの作品です。その結果、お皿のような形態になっています。日本の漆器を参考にしているようです。他のプロダクト作品にも共通していますが、簡潔な構造、合理性、経済性をよく検討した上で、ムナーリは、デザインの美しさを表現できるか、その可能性を追求しています。

「くずいれ」
ムナーリのくずいれは、1枚のステンレス板の両端を折り接着し6枚組み合わせたものに底をつけ六角柱にしています。六角形は円や五角形と異なり並べても隙間ができず、また、四角形と比べても斜めの力に強く強度があります。つまり、ムナーリは、最小限の材料で最大の空間を維持できる六角形を使い、無駄のないデザインとその時代に多くある素材を使って低い生産コストなどを考慮しています。

「デスクセット」
アルミの長方体のケースには、メラミン樹脂で作られた立方体の容器が入っています。そして、それぞれに取り外しのできるアルミのパーツがあり、灰皿、クリップ皿、ペン立て等になっています。「立方体の灰皿(クーボ)」から発展、進化したと言える作品です。よけいなものを削ぎ落としたその機能美は変わりません。

「立方体の灰皿」
「立方体の灰皿」は、「何かを複雑にするのは簡単だが、シンプルにするのは難しい。」ムナーリが語った言葉を体現したような作品です。立方体の箱の中に長方形のアルミ板を折って作った吸い殻受け、それを引き上げれば、簡単に吸い殻が取り出せる灰皿です。シンプルかつ経済的でありながら、使い勝手がよい機能的な形をしています。

「小ざるのジジ」
ムナーリは1940年代後半に新しく開発されたスポンジ状で柔らかく、断熱性などに優れた素材フォームラバーを使って子どものための玩具を制作しました。真鍮の細い針金線を心材にして、自在にポーズがとれる玩具「小ざるのジジ」です。1954年に第1回「黄金のコンパス賞」を受賞。

「アビタコロ」
小さな部屋を意味する子どものための開放的な空間環境です。まだ親の支配下にある小さな子どもに独立した子ども部屋を与えるのではなく、アビタコロを親の目の届く居間の片隅に設置することで、親子の絆が強くなり、お互いの意思の疎通が図れる居住空間です。

