写真ゲーム

ARTIST TALK_作家トーク

作家トークNo.9 高橋万里子(3) 「撮影の準備になるべく手を加えずに、引き算でいこうと考えました。」

ーこれまで植物をテーマにされたことは?

高橋:女性と友人とを組み合わせて、その間にポンポンポンっと(植物が)交互に入ってくるような展示をしたことがあります。

ー写真の大きさも、同じ大きさでその組み合わせに入ってくるわけですね。

高橋:そうです。撮っているのは、自分のお風呂場に置いてある、植木鉢で育っている植物なんです。このシリーズを始めたとき、撮影の準備になるべく手を加えずに、引き算でいこうと考えました。ライティングは家で使っているスタンドを使っているし、植物にしても、自分が(撮影用に)準備した植物ではないものを使おうとしたりして、それで、しっくるくるというのがあって──

ーほんとに身近なものなんですね。

高橋:ものを撮ろうと思って買い物をしてきたりすると、あんまり良くなかったりします。植物のディティールが面白いと思って買ったものが、撮ってみるとそうでもなかったり。ちょっと作りすぎてたりとかして。人を並べたのと同じ壁面に置いて撮るので、その壁のディティールに合わないというか──

ーなるほど、撮るものは違っても壁は同じなわけですね。

高橋:狭い部屋なので、大きく使える白い壁がここだけという。シミとか、ちょっとしたボコボコ感とか、そういうのがけっこう出ています。

ーこれはご自身のスタジオというわけではなくて、普通のお部屋なんですか?

高橋:はい、壁もなんとなく、暮らしているうちに薄汚れてきて(苦笑)、あっという間にシミとか、そういうのが増えてくるんですけど、それでもいいかなと。日常の中でひっそりできてくるみたいな感じを大切にしています。やる気満々で、準備をして、仕込んでっていうのではない方がしっくりきます──

深川:自然というんでしょうか。それと比べるとなんとなく「ニジノハラワタ」という作品は、よしやるぞっていう。買い物してきたいろんな食べものが──

高橋:ゼリーを買ったり、ヨーグルトを買ったり、キャンディ買ったりって感じで、そういうことからほんとに変わってきてしまったんですね。でもまたここから、攻撃的に何か仕込んでくることになるかもしれません。人のリズムかもしれないですし。

takahashi002.jpg

ー今後どういったものを?女性だったり男性だったり、人形だったり植物だったりといったものが今回出ていますけど。

高橋:動物をやってみようかと思っています。同じ距離感で。人でやって、人形でやって、花でやってというので、また生きているものを──

ー動物は自分のおうちに?

高橋:まずは動物園に行って(笑)、ちょっとそういう、明かりが落ちた爬虫類館とか、そういうのから撮ってみようかなと思っています。ほんとはもっとアクティブな動物を、こういう感じで撮れたら面白いなって思っているので、そういうことをやれたらなと思っているんですけど。

ーその場合、光のコントロールが、おうちの中でやるのとは違ってきますね。新しいチャレンジかもしれませんね。

高橋:それこそ、月光でというのがいいかもしれないです。逆にそっちのタイトルの方に寄った方がいいかもしれないですね。家から外に出て行くということが、まず動物園へ行くとしたら、また段階は変わるので、意識も変わるかもしれないです。

ーなるほど。よく月の光を見たりするんですか?

高橋:そんなことはないです(笑)。でも温度が低い光とか、湿っているとか、白っぽい光とか、そういう──

ーなるほど。今回お話を聞いていて、初めて理解できたことがありますけど、光の「温度」ですね。やはり月の光に通じるような、光の温度というのかな、質感が近いものがありますね。

高橋: 暖かいとか、カッと熱い光ではやっぱり違うんですよね。

ーかといって冷たいという意味でもないですよね。

高橋:高くもないというか、常温……ですね。

ー植物の組み合わせ方というのは何かあるんでしょうか。

高橋:特に気にしていません、上がってきたところで気に入ったのを選んで、列を作ることを考えて選んだので、割と自然に決まったというのはありますね。

ー今お話をうかがっていますと、やはり高橋さんがイメージを作り出す方法というのかな。家の中でやっているけど、しっかりとした方法があって、光の質だとかね。これは道具としては普通の道具なんですよね?

高橋:はい、カメラも普通のうちにあるものですね。

ーそれは高橋さんが見つけ出した、写真の作り方だと思います。そこには、前に少しお話しなさったように、石膏デッサンの中でイメージを作るようなかたちのように思えます。それを手ではなく、写真でやっていらっしゃる。

高橋:ボヤボヤボヤボヤ……やっていく形で、けっこう枚数も増えていった中で、じゃあこの像という形で選んでいったのだと思います。

ー「月光画」という、とても魅力的なタイトルで、なんかちょっと引きずられるようなところもあるんですけど、今お話をうかがってて、月の光の質のことだとか、あるいは寂しさとか、そういう面も含めて、このタイトルがピッタリ来るなと思いました。「月光画」のシリーズはまたこれからも続くということですかね。
今日はどうもありがとうございました。

●コメントを書く

CATEGORY

ARTIST TALK_作家トーク