写真ゲーム
ARTIST TALK_作家トーク
作家トークNo.6 今義典(2) 「"笑い"を真剣に考えるようになりました…」
ー次は「銀ちゃん」。こちらはどういうお話しで…
今:「銀ちゃん」はあるものに対するオマージュというか、あこがれだけで作り上げたものです。「銀ちゃん」というキャプションは、本宮ひろ志の「俺の空」をモチーフとしています。5、6年前にセブンティーン(17歳)の理由・動機なき殺人事件というのが多発しました。ただ彼らの動機のなさというのは「銀ちゃん」とは全く別でして、銀ちゃんには愛するものや信じるものがあるのです。
ー愛がテーマですか?
今:はい(笑)。まあ、愛だけがテーマではないんですよ。愛するもののために命を落としてまでも戦うことができるかという「ベタ」なね、クサイところが根っこにあるんです。満開の桜並木の疾走は「八ツ墓村」へのオマージュ…学生服に日本刀というのは社会党浅沼刺殺事件の山口二矢のイメージに重なるかもしれません…
ーそうですか。いろいろな要素が絡み合って、人によってさまざまなイメージを浮かび上がらせるような作品になっていますね。ところで、撮影は、結構大変だったんですか。
今:近くに交番があるんですけど、まずそこへ行って撮影許可を取りました。ダミーですが日本刀を持ってるわけですから。それと、桜が満開のときは必ずお客さんがいるわけで。花見の客。その人たちをどかすわけにも行かないので、一回超スローシャッターで写真を撮って、周りの人を消して、それでもう一回シャッタースピードを変えて合成(二重露光)をしました。とにかく走っているときというのは、瞬間を写さなくちゃならない。変なポーズに止まっている場合が多々あるんです。だから、動く人だけをデジカメで100枚くらい撮りました。走っているかっこいい瞬間を捕らえるのには結構時間がかかりました。
ーそしてもう一点は「奥日光エクトプラズム」。
今:これは本物の人間を使っているんですよ。よく蝋人形かと聞かれるんですけれど、本物の役者さんを使っています。
ーじゃあ、エクトプラズムも本物なんですよね?
今:そ、それは(苦笑)。
ーいや、ここに訪れる川崎の子どもたちには僕はそう話してるんですよ(笑)。
今:そうですか(笑)。じつはエクトプラズムは自分で作ったダミーを役者さんにくわえてもらいました。ただ、自重のせいで役者さんのあごの筋肉がこわばって見苦しくなってしまうんで、テグスで吊っています。いろいろ苦労してやってみましたが、どうもつまんなかったんで、あとで(デジタルの)画像合成でビヨーンとのびているところを自分で付け加えました。
ー笑っちゃいますよね。
今:ここから「笑い」というものを真剣に考えるようになりました。そして、くだらないことをいかに命がけでやるかということに、生涯かけてみようかという分岐点になった作品ですね(笑)。
ー撮影はどうでしたか?
今:大変でした。撮影時間が2時間と決められていたんで。日光江戸村の役者さんなんです。みなさん普段はそれぞれ別のところで違う芝居をしているんですけど、6時に皆さん集まっていただくようにして、ちっちゃい茶店みたいなところで、(写真には)見えないけれど、複雑に撮影用ライトを組んであるんです。それでワーッと撮っちゃうんですけど、さすが役者さんだけあって、皆さんこちらがリクエストした以上のオーバーアクションをとってくれたりとかして、いいカットが何枚もできて、最終的にどれを使おうか迷うくらいのものができました。それぞれの顔がお互い隠れないようにカメラをセットするのに苦心しました。


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